SFショートショート【使命感】

         

またもやSFショートショートを考えました。今度はどうでしょうか?

よかったら読んでやってください。

        

【使命感】

       

その男はどこにでもいる平凡なサラリーマンだった。

年齢は50歳半ばでパッとしない見栄えであり経歴であった。

人生の先が見え、あまり楽しいことがなかった人生だったな~と

ただボーっとしている時間が多くなった。

         

ある日会社からの帰りに、小さなバーに寄った。

そこには、その男と同じくらいの年恰好をしたマスターが一人で

暇そうにグラス磨いていた。

          

マスター「いらっしゃいませ」

男「一人だけど、いいかな」

マスター「どうぞどうぞ、お一人様大歓迎ですよ」

男「何をもらおうかな、あのウイスキーをロックで」

マスター「承知しました」

男「ところで、入って来て早々変なことを聞くが」

マスター「何ですか?」

男「何時からおの商売をしているのかな?」

マスター「この店はまだ間なしですが、この業界は18の年齢からですよ」

男「そうですか」男は確信した。

 「それなら、あれをよろしく頼む」

マスター「あれですね、承知しました」

          

暫くして男は店から出てきた。

そんなに酔った感じでもなく、ゼンゼン普通の様子である。

          

この男もマスターも一般人を装った特殊な職業に就いた人間だった。

この男たちの正体は地球外知的生命体取締官だった。

時は西暦2299年、地球連邦軍が設立されて約100年になる。

その男達は身分を隠して一般社会に溶け込んで生活をしている。

地球外指摘生命体取締官とは地球人以外の知的生命体が地球人に紛れて

地球を調査し情報を流出させることを防ぐために取り締まることが主な

職務である。

         

一般人にはわからないが、地球外知的生命体はけっこうな数が地球人の様に

振舞って普通に暮らしている事がわかっている。

一般人にはわからないが、地球外知的生命体はけっこうな数が地球人の

様に振舞って普通に暮らしている事がわかっている。

そのため、地球外指摘生命体取締官は一般人を装って地球人外知的生命体

を監視し時には逮捕する事もある。

この平凡なサラリーマン風の男は、地球連邦軍に属してから30年以上の

ベテランである。

しかし、地球外知的生命体を逮捕した経験は数回しかない。

この男だけがそうなのではなく、地球外知的生命体を逮捕することは、

よほどの事がない限り実施されない特殊なケースであるため地球外知的

生命体を逮捕する事はあまりないのが普通である。

さっきのバーに寄ったのも、取締官同士の情報交換の為だった。

          

男は、帰宅中に尾行されることを嫌い、鋭い眼差しで辺りを見回すと道を

曲がって急に駆け出したり等して尾行を振り払う行動を日頃からしていた。

ある時は、老紳士から道を尋ねられる事があったが、地球外知的生命体で

あるかもしれないと思い、無視してその場を立ち去ったりしていいた。

また、地球外知的生命体の可能性が極力減らすために、近隣住民との付き

合いも必要最小限にとどめている。周囲の人からすると、その男はかなり

変人に思われていた。

仕方がない、これも地球の平和を守るためだ、と自分に言い聞かせ過ご

してきた。

                  

ある時、その男は危機に遭遇する。

地球外知的生命体からの攻撃を受けたのである。

己の身が危ないと感じた為、地球連邦軍に属する地球外知的生命体取締官

に対する公務執行妨害を適応し、出来れば逮捕、やむを得ない場合は射撃

することにした。

その男は勇敢に立ち向かった。

銃を持ち地球外知的生命体に無駄な抵抗はするなと言ったその時に、

爆風で目の前が真っ暗になった。 

            

その男の頭の中に、なにかメッセージが浮かんできた。

こちらは、人体冷凍保存サービスセンターです。

こんな状態になった経緯をご連絡します。現在は西暦2399年です。

そして、あなたがほぼ死亡したのは西暦2299年です。

あの時、あなたは、地球外知的生命体に何らかの爆発物を投げつけられ、

瀕死の重症を負いました。

すぐ病院へ搬送されいたが、もう手の施しようがない状態であり、

このままでは死ぬのは確実でした。

身体のほとんどは爆風でボロボロだった為、医師の提案により、脳だけ

冷凍保存をすることになりました。

そして、未来の医療技術が進んだ時点で再生することの可能性にかけた

という次第です。

現在は脳だけの状態で液体窒素(-193℃)で冷凍保存されています。

そして、おおよそ百年に一度解凍し保存状態をチェックするシステムと

なっております。

残念ですが、現時点ではまだ身体の再生医療技術は完全には確立されて

いません。もうしばらくお待ちください。

            

なんと、俺は脳だけになってしまったのか。そして、あれから100年

経ったというのか。

現在の外の景色はどうなのだろうか、脳だけでは歩けないし見ること

話すこともできない。

メッセージを受けるだけで、意思を外部に伝達する方法がないのか?

仕方がない、これも全ては地球の平和のため頑張るとしよう。

こんなことで死んでたまるか!何とか生き延びて地球外知的生命体を

倒さねばならない。

なんだか、眠たくなってきたぞ。また眠らないといけないのか?

いったい何時になったら、身体を作って貰えるのか?ああ眠たい。

又、彼に無限の闇が襲ってきた・・・・・

        

            

人体冷凍保存サービスセンターの職員で医師である男が言った。

冷凍保存されているこの男は親の遺産を相続した金持ちだが、いたって

平凡な人生だった。100年に一度の割合で解凍して脳の機能をチェックを

する事は医学的に必要であるので実施するが、その時に意識を回復して

しまう。

そこで地球平和のためという大きな使命と希望を与えている様な幻覚を

見せている。そうでないと、脳だけになった事による強烈な孤独や強烈な

不自由さに耐えきれず発狂しないとも限らないからね。

             

      終わり

           

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

どうですか?そんなに面白くなかったですか?

まだ努力が必要ですね。

         

それでは、失礼します。

         

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