SFショートショート 【罠】

             

又も懲りずに、SFショートを書いてみました。

よかったら、読んでみてください。

         

       

あるところに男がいた、その男の年齢は30歳新卒で就職し同じ会社で

働いていた。

誠に平凡なサラリーマン人生を送っている。

仕事はソコソコ忙しく、一人暮らしで結婚はまだである。

        

ある休日に一人自宅でつぶやいた。

「そういえば自分には趣味らしい趣味はなかったな。」

と思い始め、何か探したいなと考えた。

男は何かよい趣味はないかと、探すために自転車でその辺をうろついた。

別に何もなかったが、歩道の植え込みの陰に何か四角いチケットの様な袋を

発見した。

何だろうと思って拾ってみると。

開封されていない、10枚連番の宝くじが入った袋であった。

      

誰か落としたのか。

運の無い奴もいるものだな。

まあ、貰っておくか。

宝くじの当選発表までまだ1週間以上あった。

その辺の店で買い物をしてから家に帰った。

        

夜になり、就寝することにした。

すると、部屋の中に薄い雲のような物体が現れた。

はっきりは見えないが、何かいることはわかった。

触ってみようとしても、何も感触はない。

匂いもしない。音も聞こえない。

ただ、もやーとした物体がかすかに見えるのである。

何だろうと思っている間にスーッと消えてしまった。

        

翌日もその雲のような物体は現れた。

そして、知らないうちにまた消えてしまう。

その次の日も、そのまた次の日も雲のような物体は現れて消えていくように

なった。

そのうち慣れてしまい、気にならなくなった。

         

そんなある日、いつものように雲のような物体が現れたが、

出現している時間が少し長いように感じた。

そして、かすかに何ともいえないいい匂いがする事にも気がついた。

何時からこんなことになっていたのだろう?

まあ、芳香剤を買わなくても済むからいいか。くらいに思った。

        

そういえば、拾った宝くじの当選発はもうあったはずである。

すっかり忘れていたがまだ、当選番号を確認してないことに気付いた。

見てみようと思い、当選番号を確認すると。

何と、一等と前後賞合わせて10億円が当選していた。

10億円である。その男はとんでもない大金を手に入れた。

持ちつけない大金を一庶民が持ってしまうと、とんでもないことになる、

とよく言われるが。

その男も多分に漏れず、飲む、打つ、買うに狂ってしまい、気が付けば

無職で一文無しになっていた。

         

こんなことなら、宝くじになんて当たらなかったらよかった。

というか、宝くじなんか拾わなければよかった。と後悔したが

後悔先に立たずである。

男は、もう何ヶ月も家賃を払っていないマンションを追い出された。

          

住むところの当てもなかったのでネットカフェに寝泊りをしていたが、

そのうち残り少ない現金も底をつき野宿するようになった。

          

落ちるところまで落ちたもんだと思いながら、寒い夜空の下でボロ毛布に

包まって空腹と戦っていると、いつもの雲のような物体が現れた。

今日は、やけにはっきり見えて、なんだか声まで聞こえる。

      

その声をよく聞いてみると。

どこかのテレビのアナウンサーのような声である。

いったいこの雲のような物体は、なんなんだろう?

と思ったら、その物体から大きいい声がした。

            

「それでは皆様、お待ちかねの時間です。

 【ドキュメンタリー 古代の平凡な一庶民が落ちていく様】の追跡番組を

お送りしております。

人の不幸は蜜の味と昔からよく言われていますが、

この番組をご覧の皆さん!けっこう悪趣味ですえねえ。

いや、そのおかげで当番組は成り立っているのでございます。

いや~誉め言葉ですよ誉め言葉!

今回がこの企画の最終回となりますので、最後にこの方にインタビューを

してみたいと思います。

それでは、こんばんは!お元気ですか!

まず最初に宝くじが当たった時の感想をお聞かせ

ください!・・・・それから・・・・・・・・」

            

         終わり

            

         

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

あまり面白くなかったですか?

もっと頑張ってみます。

          

それでは、失礼します。

         

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